トムブレイディの4試合出場停止が無効に

連邦地裁の判決

デフレゲートについては、連邦地方裁判所がトムブレイディ勝訴、すなわち4試合の出場停止を無効としました。

争点はトムブレイディ自身がボールに手を加えたかどうかではなく、(それについては確たる証拠がなく、またNFLも処分の理由とはしていないということだと思われます。)NFL選手会の統一的な契約の中で、コミッショナーに処分の権限が与えられているか、そしてトムブレディが処分を決定する過程の中でフェアに扱われていたかでした。

判決ではトムブレイディはフェアには扱われてないと判断されました。

理由としては、他人(用具係)が空気圧を調整していたことに気づいていたことをもって処分されることをトムブレイディは認識していなかった(NFL選手会の統一的な契約にも記載されていないし、過去の処分の例でもそのような例はなかった)ことを理由としています。

他人の行為によって責任を問われるためには、単に他人の不正な行為を認識していただけでは不十分という原理原則に沿った判断だと思います。

また、用具係とのメールのやり取りのデータが含まれている携帯を破壊し、NFLの調査を妨げたことを処分の理由とする点についても、調査を妨げた事実だけをもって処分された例は過去にない、と判断しました。これも何らかの処分を受けるにはそれがルールとして明らかにされていなければならず、アメリカは日本と違って判例法の国なので過去のケースも踏まえつつそういうルールはないと判断したのだと思います。

 

コミッショナー控訴

当然といえば当然ですし、私が言うのもおこがましいですが、説得力のある理由に基づくまっとうな判断であるように思います。

しかし、判決を不服としたグッデンコミッショナーは直ちに控訴しました。いくら多くの修羅場をくぐりぬけてきた精神的にタフなトムブレイディとはいえ、係争が続いている状態ではベストなプレーをすることは容易ではありません。

これ以上争いを長びかせることはシーズンの開幕が楽しみで待ち遠しくて仕方ない、最高のプレーを望むファンを置き去りにしているように思います。